何も続かない日記

何かを続けるために書いています。

ひとり

映画館に行った。ジュースやポップコーンのキャラメルの匂いが混ざったような、映画館特有の甘ったるい匂いが好きなので定期的に行くことにしている。あの匂いを嗅ぎに行っていると言っても過言ではない。

見たい映画が普段行く映画館では上映されていなかったので、やむを得ず近くにある別の映画館にした。普段行くところよりも規模が小さいからか、甘い匂いがあまりしなかったので少し残念だった。

レイトショーが終わり、スタッフがほとんど捌けてしまった館内を歩いてるとテンションが上がる。平日なこともあってか客も少なかったのでなおさら。本来人がいるべき場所に人がいないということが、このうえなく心地良い。

どんな場所もできるだけ人が少ない方が心が安らぐ。人がいない道、人がいない飲食店、人がいない職場、人がいない観光スポット、人がいない自宅。

でも孤独を楽しめるのは、所詮自分が孤独ではないことをわかっているからこそだ。家族がいて、知り合いがいて、よく見かける店員がいる。ひとりが好きだと言いながら、真にひとりになりたいなど微塵も思っていない。

夜中に誰もいない道を歩くことも、通りがかった誰かの家に明かりがついているからこそ安心して楽しめる。ひとりでないことを担保されながら、全力でひとりを味わう。